2015年11月18日水曜日

「イッちゃった」


行ってきました、愛知芸術劇場に...大好きなピアニストのコンサート。

最年少でショパンコンクールに優勝した、ユンディ・リというピアニストです。ピアノの貴公子とかキムタク、というあだ名もあるくらいのイケメンでもあります。
 
彼のルックスはもちろん心惹かれる大きなポイントではありますが、何よりも好きなのは彼のもつ独特の色香のある音色です。シャープで華やか、どちらかといえば線の細いけれどけぶるような朧月夜のようなピアニッシモと、間近で銅鑼がなるようなどっかん響くフォルテシモ、そしてその間のクレッシェンドの厳しさ激しさにいつもどっきゅんやられちゃいます。

プログラムは、ショパンのピアノコンチェルト1番と、ベートーヴェンの「皇帝」でした。登場をわくわくして待っていました。今回は1階の前から10列目の席。オペラグラスを使わなくても、かなりいいとこまで見えます。開演の鐘が鳴り、オケメンバーがぞろぞろ出てきて、コンミスがA音鳴らしてる。もうすぐだよ。すごくお待ちしてます。あなたのためにここまで来ました。だから。きてきてきて来てーー。
で、ドアが開いて。

主役キター!!絶叫したいのをとにかく耐え、拍手しまくり。

30才を越して相変わらずスレンダーな8等身の、王子様のようなルックス。優雅にピアノに手をおいてお辞儀をし、燕尾服を派手にまくらずにそっと椅子の後ろにあわせて座る仕草もお美しい。

 ショパンの1番はオケだけの序奏部分がかなり長いのですが、オケだけが曲を奏でている間何度も何度も自分の出だしを音を出さずに鍵盤を確認する、ピアノがはじまるその時間まで彼のものすごい緊張が伝わり、自分もちょー緊張してしまいました。また、その緊張感に萌え。

「もうすぐ、もうすぐ、次、ここ。ピアノはいったーー。」

少女のような華奢な指が華麗に鍵盤上を舞います。て言葉がぴったり。うーん、やっぱ王子様の音は自分の好きなショパン。全体を通して語られるなんともいえない厳しい切ない雰囲気にうっとりです。堪能。

20分の休憩時間の間に、なんとなく呆然と席に座ったまま「次はベートーヴェン」と心を切り替えます。

 「皇帝」は、「なんかえらそうで、感情の起伏の激しいわがままでひつこい派手好きでごおじゃすなおっさん?」て感じの華やかな曲なのですが、(勝手に自分がそう感じるだけかもしれませんが)彼の持ち味のシャープで華やかな音質に合う選曲だなあと感じました。(チケットを先行販売でゲットしたときは、プログラムはショパンの2番のコンチェルトだったのですが、王子様の強い希望で「皇帝」になったそうです。そのようにお手紙もきました。よほど披露したかったのだと思います。確かに「皇帝」のほうが派手?)やはり生はいいです。あの華奢なお体からどうしてこんな音が出るのだろうと、いつも感心するのですが。

 オケパートだけのところで真っ白のハンカチで額の汗を拭くお姿も、ああたいへんだなあ、こんなにパワー使ってらっしゃる、せめて汗をお拭きするのをお手伝いさせてくださいと駆け寄りたくなるのをなんとか耐えました。だって自分だけじゃないものね。

 アンコールはショパンのノクターン2番で、王子様の終わってほっとした雰囲気が伝わり、お疲れなのにお心遣いありがたいなあと思った次第です。

 嬉しいことに、また来年6月に来日が決定。今度はピアノソロコンサート。もちろん先行抽選にエントリーしました。またいければよいな。
 
 こうのレディースクリニック 河野 洋子
http://kono-ladies-clinic.jp/